BIMとCADの違いとは?将来性とメリットを徹底解説

建築業界で導入され始めているBIMですが、
「3DCADで十分じゃないの?」
「新しいもの好きが使っているだけでは?」
と思っている方も少なくありません。

今までCADで問題なく業務が行えてきた歴史があるからこそ、その必要性や違いがわからないという方も多いです。

ですが、BIMはいままでにないメリットも多く、将来性を考えると、ぜひ知っておきたいスキル・技術です。

そこで今回は、BIMについて分かりやすく解説します。
この文章を読み切ったら、「BIMじゃないとダメじゃん!」と思うこと間違いなしです。

BIMとCADの違いとは?

BIMとCADの違いを例えると、CADが紙の地図なのに対し、BIMはGoogleマップくらい違います。

皆さんも最近では初めていく場所にはGoogleマップを使うことも多いですよね?

Googleマップがあれば、紙の地図も書けますし、店の情報や、実際の道のりや、目的地までの到着時間などだけでなく、建物の大きさもストリートビューから判断することができます。最新情報も随時更新できます。

一方、紙の地図は、そこに書いてある情報のみしか得ることができません。
そして、何かが変更された場合、全ての紙のデータを一つ一つ書き直す必要があります。

例えば、ある〇〇市が、◾️◾️市に名称が変わり、区域も変更があったとします。この時、紙の地図は、様々な縮尺の地図データを変更し、それぞれの表記も変える必要があります。しかし、Googleマップはどうでしょうか。市の名称変更をかければ、全ての縮尺の地図も同様に変更されます(拡大縮小が容易のため)。つまり、1つの変更で全てのデータが連動して、変更されます。

これがBIMとCADの違いのイメージです。
なんとなくイメージは掴めたでしょうか?

それぞれ詳しく解説していきます。

BIMとは?

BIMは「Building Information Modeling」の略称で、簡単に直訳すると「建物の情報モデル」という意味です。
では、情報モデルとはなんでしょうか?

まず、BIMでは建造物の3Dモデルがあります。
このモデルを見ていくと、外観や寸法について表示されています。
それに加え、BIMを使えば平面図や立面図も見ることもできます。

つまり、3Dモデルを拡大縮小できるだけでなく、平面でも必要な情報をアウトプットすることができるのがBIMです。
また、各部材の商品・コスト、その必要量、施工日数、施工人工、メンテナンス時期・費用など建築設計施工に関わる全ての情報を一括管理できます。

従来のCADを使っていたものでは、これらの情報は全て別の書類だったではないでしょうか?
これらが1つになることで、業務の効率化が図れることは容易に想像できますよね。

特に大規模な建造物においては、BIMを活用しなければ余計なコストや時間がかかることになるため、必須なものとなっています。

【入門編】BIMとは?わかりやすく徹底解説にてさらに詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

 

BIMの活用事例3つ

実際にBIMの事例もみていきましょう。

3つの事例を紹介していきます。

 

①上海タワー(2016年完成)

中国上海市にある、高さ632mの超高層ビルです。アメリカのゲンスラー社が設計を手がけ、BIMが活用されました。

 

②サーバナジュロンのCAVE(シンガポール)

CAVE(ケイブ)はBIMとVRを融合した施設です。リモートでも、設計者同士で同じ会議室にいるかのように、そしてその建造物の中にいるようなリアリティを感じることができます。つまり、リモート会議をしながら感覚的に高度な打ち合わせをすることができるというものです。

 

h4 ③歴史的建造物へのBIM活用

歴史的建造物は、これから建てるものではないのでBIMは何に使うの?と思われるかもしれませんが、メンテナンスや施設運用でもBIMは有効活用できます。

観光施設となっている歴史的建造物もあり、その人件費等の管理、建造物のメンテナンス費用を一括管理することができます。これにより、長期間の維持運用を正確にコスト面で把握することができるようになるため、BIMの活用が注目されています。

BIMの活用事例と導入の問題点を徹底解説にてさらに詳しく解説しているので合わせてご覧ください。

 

CADとは?

一方でCADとは、Computer Aided Designの略称で「コンピューター支援設計」のことです。製造業や建築業、昨今では3Dプリンターなどでも用いられています。

図面をデータ化することで、変更修正を容易にしたり、共有する際に正確に図面情報を伝えることに役立ちます。

2DCAD、3DCADなどがあり、2Dは平面、3Dは立体として扱うことができる設計図になります。3DCADは分析シミュレーションを行うこともでき、その製造物の物性をコンピューター上で解析できます。

CADはBIMに性能は劣りますが、導入コストが比較的安いことから、現在も2DCADのみを利用している企業も多いです。

 

CADの活用事例2つ

では、CADの活用事例もみていきましょう。

①万年筆

万年筆も3DCADを活用することで、視覚的にどのような構造となっているのかを理解することができます。平面図では、素人では万年筆と理解できないかもしれません。
そして分析シミュレーションでは、留め具の強度や、ペン先の曲がり具合や、強度を解析できます。
(参考)3D CADの活用方法やメリットを整理しました|株式会社ポリ・スタジオ

②公共建造物

公共建造物は、住民などに説明が必要で、図面では理解できません。しかし、3DCADを用いることで、視覚的に理解することができるため有用です。また、時間軸を設定することで、施工の進捗イメージを簡単に共有することもできるため、施工業者間、対外部に対しても情報共有を円滑に行うことができます。

(参考)現場を簡単に3D化|株式会社建設システム

 

BIMの将来性とCADとの違いとは

ここまでで、BIMとCADについて、解説してきました。

CADというものは、もともとは製造業などでも広く活用されており、建築業でも多大な恩恵をもたらした技術です。

一方でBIMは最新の技術で、より効率的に情報共有ができ、管理側も非常に手間を削減できる画期的な技術です。
そして何より、BIMには将来性が非常にあります。

 

BIMが従来の3D CADと違う点

では、具体的にBIMが従来の3D CADと違う点をみていきましょう。

今までの3DCADではできなかったが、BIMにはできる例をいくつかまとめていきます。

・土地状況に応じた外観シミュレーションができる
建設予定地の3Dシミュレーションを行い、その場所に建造物を立てた際に、看板がどのように見えるか、車の侵入方法に問題はないかなどをシミュレーションすることができます。

・施工日数、施工人工の算出
施工日数を躯体や、仕上げ、設備などで算出し、人工も算出することができます。

・部材のコスト管理
部材の商品情報、必要数、コストを情報として包括できます。

・メンテナンスコスト管理
設計施工段階だけでなく、メンテナンスコストについても管理することができます。耐用年数から、メンテナンス頻度、交換費用などを算出できます。

 

BIMの将来性とメリット

次に、BIMの将来性とメリットをみていきましょう。

BIMは、上記で紹介したように、画期的な効率の良さで建築業務を進めることができるので、大規模建築だけでなく、歴史的建造物など様々な建造物の、設計施工・メンテナンスにおいて必須の技術となってきています。

一番のメリットは、3DCADの役割を網羅しつつ、さらに活用方法があるということでしょう。
今後もさらに技術の発展や、使い方の工夫がされていくことが予想されるので、いち早く取り入れておくべきでは無いでしょうか?

BIM導入のメリットデメリットを導入事例から解説にてさらに詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

 

BIMとCADの違いと将来性のまとめ

BIMとCADの違いを簡単なイメージで、

BIM:Googleマップ
CAD:紙の地図

と紹介しました。

今となっては、紙の地図を使っている方は少ないように、それだけGoogleマップは便利で有用です。
つまり、BIMも同じようにCADに取って代わる、上位の技術です。
現段階では導入コストが高いため、普及率はまだ高くはありませんが、近い将来BIMが当たり前の技術となるでしょう。

BIMの導入コストだけでなく、導入後の業務効率改善効果や、将来のメリットも考慮した上で、導入を考えてみてはいかがでしょうか。

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