従来のCADと違い、BIMを使用した建築設計は、パソコンのスペックやノウハウの見直しが必要です。
そこで、すぐにBIMで設計しなければいけない際に視野に入れたいのが、BIMを外注する方法です。
BIMの外注は、すでに使い方を熟知しているプロフェッショナルに作成してもらえるため、効率良く業務を進められるでしょう。
その一方で、注意が必要な面もあります。
当記事は、BIMを外注する方法やメリットとデメリット、ならびに注意点について網羅しています。
BIMについて詳しくは下記記事を合わせてお読みください。
BIM外注先の種類
・請負業者型
『設計事務所』や『工務店』などの名前を冠した業者です。
BIM外注に関する一連の業務を一括発注し、依頼主は成果物に対して報酬を支払います。
・フリーランス型
フリーランスとは、企業や団体に属さない人のことです。
近年では企業で技術を培い(または独学で学び)、早期に独立し、フリーランスとして働く道を選ぶ人が増えています。
フリーランス型も請負業者型も、仕事を発注し、その案件ひとつひとつに対して報酬を払う点では変わりません。
フリーランスに外注したい場合は『ランサーズ』などのアウトソーシングサービスを利用するとよいでしょう。
BIM外注をフリーランスに依頼する場合
BIMの外注先にフリーランスを選ぶ際は、下記の3つのポイントを抑えましょう。
・『ランサーズ』や『クラウドワークス』を利用する
フリーランス設計者の多くは、クラウドソーシングサービスと呼ばれる、仕事の依頼者と発注者を結ぶためのプラットフォームを利用しています。
さまざまな依頼とフリーランスが集まる『クラウドワークス』や『ランサーズ』を中心に、近年では建築デザイン関連の仕事を専門的に発注できる『STUDIO UNBUILT』なども現れました。
クラウドソーシングサービスでは、受注者の実績や評価が可視化されています。
そのため、はじめて外注する人でも比較的安心して利用できるでしょう。
・外注したい候補者の実績をよく確認すること
BIMを操作できるフリーランスを見つけたら、まずは実績や評価をよく確認しましょう。
フリーランス設計者のなかには、たとえば「設計者歴20年以上でどんなに複雑な設計も可能」という方もいれば「設計の勉強中のため図面の手直しをメインに受注可能」という方もいます。
意図しないミスを避けるために、該当するフリーランスが過去にどのような案件を受注し、クライアントにどのような評価をもらったのかを確認することが大切です。
・契約内容を明確にし、契約書に合意すること
フリーランスは請負業者と違い、個人で活動している者がほとんどです。
双方が快く作業を進行させるためには、発注前に契約内容に合意し、契約書を交わす必要があります。
契約書を交わせば、音信不通や依頼の途中放棄などのリスク軽減にもつながります。
『ランサーズ』などのクラウドソーシングサービスであれば、プラットフォーム上で秘密保持契約の締結や報酬の支払いもできるため、請求書や契約書発行の手間がかかりません。
BIM外注を請負業者に依頼する場合
BIM外注を請負業者型に依頼する場合の注意点は下記の3つです。
フリーランスに外注する際の注意点と比較し、より好ましいほうを選びましょう。
・外注費が高くなる場合がある
請負業者に外注する場合、フリーランスに依頼するよりも高価格になる可能性があります。
その分、一つの案件にかけられる人件費や時間も多いため、成果物のクオリティを重視するならば、請負業者を選ぶほうが理想的です。
もちろん業者によって、作業の質や外注費は異なるので、事前の業績チェックは必須です。
一社ずつ請負業者のホームページを見て回る時間がない場合は『請負市場』や『キャリコン』など建設マッチングサイトを活用するのもよいでしょう。
・品質がよく、コンペ受注率も高い
先述の通り、請負業者のほうが時間や人件費をかけられるため、フリーランスと比較して成果物が高品質です。
成果物の品質がよければ、コンペ受注率(成約率)も上昇するため、事業の追い風となることも期待できるでしょう。
・納品まで時間がかかる可能性がある
請負業者に依頼する場合、発注量にかかわらず、余裕を持った納期設定が必要です。
発注先の請負業者が、すでに他社のBIM業務を受注している可能性があるためです。
どうしても短期間で納品して欲しい場合や、色々と融通を聴かせたい場合は、比較的フリーランスの方が対応してくれます。
ただし、納期の融通が利かなかったり、請負業者によっては社内チェック等の影響で作業が遅くても、比較的安心して依頼したい場合は、請負業者がよいでしょう。
BIM外注のメリット・デメリット
次に、BIMを外注するメリットおよびデメリットを紹介します。
BIM外注のメリット3つ
BIMを外注するメリットは下記の3点です。
・すでにノウハウがある技術者に一任できる
・人手不足を解消し、かつコストの削減につながる
・社外の知識や技術を活用できる
社内の労働力は有限です。
そのためすべての業務を社内労力だけで補うことは、非効率的でコストがかかってしまうケースがあります。
イチからBIMを学ばなければならない場合、学習時間にも労力を割かれてしまいます。
そこで、すでにBIMのノウハウを持っている技術者に外注することは大きなメリットにつながるのです。
社内の労力はほかの重要な作業に注力できるので、総合的に人件費や学習費、およびソフトウェア代などのコストを削減できるでしょう。
BIM外注のデメリット3つ
その一方で、BIM外注にはデメリットも存在します。
・BIMの技術を学べない
・作業内容や意図の理解に不一致が起こる場合がある
・内製よりもコストがかかってしまう可能性もある
外注するとなると、社員はBIMの技術・ノウハウを貯蓄できず、成長が遅れるリスクがあります。
また一口に「外注する」といっても、依頼するための知識は必要です。
理解不足のまま抽象的な依頼すると、してほしい作業や意図を正しく理解してもらえない可能性もあるためです。
理解の不一致によるリテイクや作業遅れは、結果的に追加費用がかかることもあり、結果的に内製よりもコストが上がってしまうケースも少なくありません。
BIM外注の際の注意点を解説
BIM外注で作業効率や利益を上げるためには、下記の3つに注意しましょう。
・外注内容を明確にし、正しい言葉で説明できるようにすること
・業務遅れや手戻りが起こらないよう、業務連絡を密にすること
・BIMの知識やノウハウを少しずつ貯蓄すること
まずBIMを正しく外注するためには、適切な言葉で依頼先に指示することが大切です。
そのためには自社内でもBIMの知識に触れ、作業工程や特性に対する理解を深めることが効果的です。
外注した成果物の簡単なリテイクは自社で行ったり、あるいは、作業のコア部分だけは内製し、残りのほそぼそとした作業のみを外注したりするなどの方法が挙げられます。
ならびに業務遅れや手戻りは、こまやかな業務連絡で防止できるので、報連相に関する取り決めをしておくのもよいでしょう。
BIM外注の相場や料金
次に、BIM外注の費用相場を簡単に紹介します。
請負業者の場合
BIM外注を請負業者に依頼する場合、1プロジェクトごとに金額が設定されている場合があります。
請負業者にもよりますが、1プロジェクトにつき30万円から提示している業者もあります。
そのほかローコストを約束しながらも、費用を明示していない業者が多々あるので、一度問い合わせしてみるのもよいでしょう。
フリーランスの場合
クラウドソーシングサービス『ランサーズ』で過去の案件を確認してみると、1プロジェクト毎におよそ2~5万円の金額を設定されています。
業務内容は外観パース作成やBIMモデリング、BIMデータ化作業など多岐に渡りますが、どれも同価格帯のため、相場は2~5円、高くても10万円ほどだと考えてよいでしょう。
フリーランスが集まるプラットフォームだと、やはり請負業者よりも外注費用が低くなる傾向があります。
BIM外注の際のよくある質問
最後に、BIM外注の際によくある質問をまとめておきます。
信頼できる外注先を見極めるためには?
外注先を選定する際は、実績や評価を確認しましょう。
著しく評価が低かったり、キャンセル率が高かったりする場合は注意が必要です。
ならびに受注金額が安すぎる場合も、成果物のクオリティや報連相などのビジネス面の対応が期待できないリスクがあるため、避けるほうが無難です。
外注先は個人と請負業者をどのように選べば良い?
自身が求めるクオリティや予算などの面から、総合的に判断しましょう。
予算が潤沢にあり、かつ指示や業務の擦り合わせから必要な場合は請負業者がより安心です。
内製分のリテイクやデータ化などのこまごまとした作業であれば、より低価格のフリーランスの場合で事足りる可能性があります。
BIMの外注先で悩んだ際はどうすれば良い?
BIM外注を検討されている方は、まずはお問い合わせする前に、具体的にどんな依頼をしたいのか、また予算はどれくらいなのかを明確にしましょう。
それを提示し、条件がマッチするかどうかで判断すると、失敗のリスクは抑えることができます。
以下の企業は、実際にコスパも良く、相談にも乗ってくれるので、お勧めです。



