BIM導入のメリットデメリットを導入事例から解説

最近建築業界で注目されているBIM。

すでに身近にあるけれど、
「イマイチ理解が進んでいない」
「気になってはいるけど、導入するか迷っている」
という方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、BIMにはどんなメリットがあるのか、導入事例を用いて解説します。
また、しっかりと判断材料になるように、BIMのデメリットも紹介しています。

ぜひ参考にしてみてください。

BIMとは?導入事例から解説

BIMは「ビム」と読みます。Building(建物を) Information(情報で) Modeling(形成する)という言葉の頭文字から成り立つ単語です。

3Dモデルデータに資材情報や会計情報を紐付けることで、設計部門だけでなく施工や管理でも情報を活用するワークフローが主軸となっています。

これまで部門ごとにバラバラに管理されていたデータを連携させることで、データ管理の精度が飛躍的に高まりました。また、図面が3Dベースなので建築物のイメージが掴みやすく、関係者間での意思疎通も容易になります。

さらに詳しく知りたい方は、以下のページも参考にしてください。
【入門編】BIMとは?事例とイラストでわかりやすく徹底解説

ここからは、具体的な事例を元にBIMの特徴を見ていきます。

BIMの導入事例3パターン

今回は以下の3つの事例を紹介します。

・設計段階から環境解析を行い魚の展示環境もデザイン
・単純作業時間をカットしお客様と向き合う時間を拡充
・複雑な伝統構法の寺院をBIMでデータ管理し改修

設計段階から環境解析を行い魚の展示環境もデザイン

まず、新潟県にある上越市新水族博物館です。
上越市新水族博物館の建築は、BIMのワークフローが基礎となっています。
水族館の設計は、展示生物の飼育環境や展示環境を考慮する必要があります。
そこで、水槽の水流や水温のシミュレーションができるソフトを設計段階から併用しました。

こうした取り組みにより、従来のアクリル越しの展示方法とは違い、観客自身が生態環境に包まれた空間で、生物と触れ合うような体験ができる水族館を作ることができたのです。

参考サイト:AUTODESK|ユーザー事例-日本設計 https://www.autodesk.co.jp/customer-stories/nihon-sekkei

単純作業時間をカットしお客様と向き合う時間を拡充

次に、個人事務所がBIM運用に切り替え、効率化と品質向上を達成した事例をご紹介します。

一級建築士が2.5次元CADを使用し、設計から施工管理まで一人で手掛ける状況で、施主への懇切丁寧な対応を大切にしたい一方で、仕事が立て込んでくると時間が足りなくなることが悩みでした。

BIMを導入することで単純作業に取られていた時間を大幅に削減。顧客とのやりとりにより一層注力できるようになりました。

参考サイト:J-BIM Official|導入事例 https://j-bim.gloobe.jp/case/06.html

複雑な伝統構法の寺院をBIMでデータ管理し改修

福井県にある寺院の改修工事では、BIMの3Dモデルを用いたことで効率的に改修の方針判断ができました。

伝統構法の建築物は2D図面では難解。加えて江戸後期から明治・大正にかけて建てられた伽藍は増改築が重ねられており、部材の劣化や建物の変形も散見されました。

当初は2Dだった図面を少しずつ3DそしてBIMデータに移行したことで、状況把握がしやすくなり構造補強や施工手順の検討がスムーズに進みました。

参考サイト:A&A|ユーザ事例&スペシャルレポート https://www.aanda.co.jp/casestudy/2019/2019-05.html

他にもBIMの事例について知りたい方は、以下のページを参照してください。
BIMの活用事例と導入の問題点を徹底解説

BIM導入のメリットデメリット

日本でBIMが普及し始めて10年が経ち、大手だけでなく中小規模の企業や個人事務所でもBIMを導入するところが増えています。

当初は未知のものだったBIMも、実績を増やしその効果が見えてきたことで特徴が明らかになってきました。

BIMは業界において革新的な存在ですが、メリットばかりでなくデメリットもあります。そこで、BIMをうまく活用するために、メリット・デメリット両方を把握しておきましょう。

ここからは、BIMのメリット・デメリットを解説してきます。これからBIMの導入を検討されている方は、メリットだけでなく、デメリットも合わせて知っておきましょう。

BIM導入3つのメリット

まず、BIMを導入するメリットを紹介します。主に以下の3つです。

①設計や管理の手間を省ける
②設計初期から環境解析が可能
③イメージ共有がしやすい

①設計や管理の手間を省ける

BIM3Dモデルは単なるCGパースではなく、意匠設計に限らず構造設計や設備設計の情報も含みます。
全てのデータが連動しており、どこかの情報を一つ修正すると関係するすべてのデータが自動で修正されるのが大きな特徴です。

従来の建築プロセスでは、図面上では上手くいっていてもいざ施工に取り掛かった際に不具合が見つかるトラブルは珍しくありません。
一方で、BIMデータを用いることで図面の修正だけでなく、資材の再調達、スケジュールの組み直しといった手戻しが回避できます。

このように、BIMを導入することで「設計や管理の手間を省ける」のが一つ目のメリットです。

②設計初期から環境解析が可能

続いてのBIMのメリットは、3Dモデルをシミュレーションプログラムに渡せるという点です。

旧来の2次元図面から設計をスタートさせる手法では、環境解析は後期のプロセスでした。ある程度練り上げたプランが環境解析で不具合が見つかると、修正に相当な労力が費やされます。

BIMワークフローでは日照や風などの解析、照明のシミュレーションが意匠設計の段階で可能。デザインの調整やプレゼンにも役立ちます。

BIMは「設計初期から環境解析が可能」なので、コストカットや利便性でメリットがあるということです。

③イメージ共有がしやすい

BIMはフロントローディングという手法を取っており、設計の初期段階から3Dデータで細かな作り込みが可能です。

3Dモデルは一見すると旧来のやり方に用いられてきたCGパースと似ていますが、精度に各段の差があります。

図面を読み解く知識が無くても建物の形状がイメージしやすく、3Dモデルデータを変更すれば自動的に関連情報が修正できる点も便利です。デザイン変更による建築費の変動も算出できるため、施主との設計打ち合わせがスムーズになります。

「イメージ共有がしやすい」のは多くの人が関わる建築工事において大きなメリットですね。

BIM導入でのデメリットを3つ紹介

次に、BIMを導入する際に注意したいデメリットを紹介します。主に以下の3つが考えられます。

①導入コストが高い
②クラウドで情報共有しなければ効果は半減
③日本では土木分野との連携が遅れている

①導入コストが高い

BIMソフトウエアの販売価格は100万円前後、さらに各種サポートを受けるための保守サービスが10万円ほどになります。

また、ただソフトを導入すれば良いというわけでなく、BIMの効果を最大限にするには知識豊富な技術者が欠かせません。設計部門だけでなく施工部門や資材管理、会計などのポジションでもソフト活用の研修が必要です。現状、建築業界ではBIMソフトを操れる人材の確保・育成が大きな課題となっています。

BIMを導入したいと思っていても「導入コストが高い」と二の足を踏んでしまいそうです。

②クラウドで情報共有しなければ効果は半減

BIM対応のソフトを使って3Dモデルを設計するだけではBIMを活用しているとは言えません。

BIMはICT(Information and Communication Technology)であり、建築に関する各ポジションの情報を連動し、それに関わる人たちの情報共有ツールなのです。

情報共有することは自社の独自のノウハウが流出してしまうと懸念すると、BIMの活用が抑制されてしまいます。

BIMを導入するならば、クラウドでの情報共有をどうするかも検討しておかなければなりません。

③日本では土木分野との連携が遅れている

BIMは世界規模で見ると、建築・土木を網羅するものとなっていますが、日本では建築分野はBIM、土木分野はCIM(Construction Information Modeling)という住み分けができてしまっています。

国土交通省がCIMの推進をスタートさせた2012年、「土木工事はCIM」と打ち出したことで心理的な壁が出来てしまったようです。

とはいえ、近年ではBIMとCIMの住み分けが徐々になくなってきており、「BIM/CIM」とまとめられることもあります。

BIMとCIMについては、以下のページで解説しているので、気になる方はこちらも参照してください。
内部リンク「BIM CIM」

BIMのメリットデメリットのまとめ

■BIM導入のメリット
①設計や管理の手間を省ける
②設計初期から環境解析が可能
③イメージ共有がしやすい

■BIM導入のデメリット
①導入コストが高い
②クラウドで情報共有しなければ効果は半減
③日本では土木分野との連携が遅れている

BIMは初期設計の段階から3Dで設計を行い、3Dモデルデータにさまざまな関連データを紐付けるという特徴があります。
そのため初期段階から環境解析を行うことができ、途中で干渉が見つかって手戻りするといった手間も大幅に削減が可能です。

BIMソフトには豊富な機能が備わっていますが導入コストが高く、加えてBIMエンジニアを採用したり教育したりといった人件費もかさみます。

また、情報流出への懸念や建築・土木間での心理的な壁によりBIM活用が遅れている実態もあります。

BIMを導入することで、たくさんのメリットがあるのは明白です。ただ、少なからずデメリットもあります。しっかりとデメリットを見極めた上で、BIMをうまく活用していきましょう。

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