建築外観パースは、建築パースの中でも建築物の顔である『外観』を表す重要なものです。
そんな重要な外観パースを上手く描けるようになれば、クライアントや社内コンペでも、より提案力の高いものを作成することができます。
それだけ重要だからこそ、
「手書きでもかけるの?」
「美術が得意でなくても書ける?」
「上手く書くコツはないの?」
という疑問もありますよね。
そこで今回は、外観パースの書き方などの基本的な知識や、書き方を紹介します。
まずは外観パースの概要からご説明します。
建築パースの一種、外観パースとは?
建築パースの中でも、外観について表現したものが外観パースになります。パースというのは、Perspective Drawing(透視図)という意味で、遠近法を用いた立体的な図を表します。
建築物の外観を立体的に捉えることができるので、建物全体の形状や外装のデザインなどをよりイメージしやすくし、設計や提案に活用することができます。
周辺環境を一緒に書くこともあり、道路や植栽などがその建物が実際に建った時の印象などを詳細に把握することができます。
商業施設などの場合には外観パースを用いることで、外観の色が周りと比べてどう見えるか、看板の位置や高さをどの程度にすれば効果が高いかなどを判断する材料にもなります。
CGを用いることで昼夜の表現も容易にできるので、外観に用いる照明の配置や数などについても視覚的に設計することができます。
また外観パースを書く際に、視点をどこに合わせるかで見え方が違ってきます。地面から歩いている人と同じ目線にするか、空から撮ったように俯瞰したパースかでも使用用途は異なります。
前者であれば、その建築物自体のデザインを共有するためのものです。
また、後者であれば都市デザインや周辺環境に対してどのように映るデザインなのかを共有するために用いられます。
外観パースの書き方を2つ紹介
ここでは、外観パースをどのように書いているのかについて、2つの方法をご紹介いたします。
①外観パースを手書きで書く方法
②外観パースをCGで書く方法
外観パースは手書きとCGのどちらかで仕上げます。
手書きの場合は、施工主様との初期の打ち合わせ時にイメージのすり合わせのために用いられます。打ち合わせをしながらCGで作成するのは時間がかかりすぎて出来ないためです。
CGでの外観パースは、基本的な形状やデザインがある程度決まってから作成されます。また、最終的にプレゼンテーションを行う際のツールとしても用いられます。
それでは順番に詳しく説明していきます。
外観パースを手書きで書く方法
まず、外観パースを手書きで書く方法を、簡単にご説明します。
・地面(GL)、1F床高、2F床高、軒天、屋根棟の高さを直線上に決めます。
・目の高さを決め、消失点を決めます。
・横幅を決め、簡単に箱を書き、屋根の形状を書きます。
・GL、床の線に合わせて、窓などを書き込んでいきます。対角線を引くことで壁の中心も把握することができます。
以上が流れです。
簡単な外観パースなら、手書きで書くことも十分できます。
また、打ち合わせしながら、お客様によりイメージを沸かせたい時は、より精細に外観パースを手書きで書くことも可能です。
中には、手書きのタッチでエクステリアやガーデニングまでを書いて提案する建築士の方もいらっしゃいます。
ただもちろんより細かな外観パースを手書きする場合は、美術力が必要になるので注意してください。
外観パースをCGで書く方法
次に、外観パースをCGで書く方法です。
CGパースは、コンピュータグラフィクスによるパースになります。基本的には3Dソフトを利用して作成するのですが、PhotoshopやIllustratorなどの2Dソフトで手書き(PCは使いますが、アナログの延長のような意味)を使って書く手法もあります。
3Dソフトを使った手法は以下の3つです。
・モデリング:CADの2次元設計図を元に、建築物の形・位置・大きさなどを入力し、基本的なモデルを作成します。
・レンダリング:3次元のモデル情報に、2次元の情報を反映させる作業で、面の情報が映し出されます。ここに光や素材についての情報を設定することで、精細な表現が可能になります。
・レタッチ:3Dソフトだけで対応できない部分や細かいところを調整していきます。画像の中にphotoshopなどを用いて素材を足して行ったり、色味の調整などを行います。
以上のような工程を経て、CGパースが出来上がります。
時間や手間はかかりますが、修正が簡単であったり、シミュレーションが容易にできることから、模型よりCGパースを用いられることの方が多いです。
外観パースを手書きする場合とCGで書く場合は、一長一短なので、上手く使い分けるのがいいでしょう。
外観パースを作成する際のポイントと建築上のメリット
外観パースを作成する際のポイントは以下の3つあります。
①設計時のデザインの共有
②見た目で惹きつけられるか
③周辺環境も考慮する
順番に説明していきます。
これらのポイントは、外観パースを作成する目的でもありメリットを含んでいます。
これらのポイントを抑えずに外観パースを作成しても、ただの作業となってしまい無駄な仕事になります。
それぞれの意味についてしっかり理解して作成しましょう。
①設計時のデザインの共有
設計時に外観デザインについて共有しながらプロジェクトを進めることができます。住宅工事であれば、設計士とお客様、公共工事や施設の大規模工事では、建築士同士の打ち合わせに用います。
たとえ建築士同士であっても、平面図(外装材は商品名を記載されている)から外観のデザインについて詳細に共有することはできません。
外観パースを用いることでお互いに相違なくデザインについて直感的に捉えることができ、詳細な打ち合わせを行うことができます。
またCGパースであれば、外装デザインを容易に変更することができ、昼夜の印象をシミュレーションして確かめることができます。何パターンか作成して、複数枚を比べることでより良い選択ができるようになります。
②見た目で惹きつけられるか
外観パースは見た目が相手を惹きつけるものである必要があります。プレゼンテーション時に外観パースは建築物の顔として用います。
建築物自体の紹介で内装から紹介することは あまりありません(店舗などは内観の場合もあります)。
そのため、外観の印象が惹きつけるものであった方が提案として優れているというイメージを与えることができます。提案力を上げるために、外観パースをより精細にCGパースで人や植栽、さまざまなオブジェクトを足したりすることもできます。
③周辺環境も考慮する
外観パースを作成する際、周辺環境の中にその建築物があったときに、どのような印象を与えるかも考慮することが重要です。その建築物の目的に沿って、周辺より目立たせたいのか、馴染ませたいのかなどのニーズを踏まえてデザインします。
また商業施設であれば、看板の位置や高さについてどこが一番効果が高くなるかなどを、周辺環境に合わせて建築物を配置することで詳細に検討することができます。
建築外観パースとは?のまとめ
外観パースは、外観の遠近法を用いた立体的な図を表します。
①外観パースを手書きで書く方法、②外観パースをCGで書く方法
についてご紹介しましたが、設計士はどちらのスキルもある程度必要とされます。設計の初期の打ち合わせには手書きで書く必要がありますし、CGパースも発注する際にはある程度の知識が必要になります。
外観パース作成のポイントは、
①設計時のデザインの共有
②見た目で惹きつけられるか
③周辺環境も考慮する
の3つがあります。
これらの目的とメリットを理解して外観パースを作成することで、より効果的なものを書くことができます。
『知れば知るほど、自社で作るのは難しい…。』
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