建築内観パースとは?手書きや書き方から種類まで解説

建築物が完成するまでには、さまざまな『建築パース』が用いられます。

一口で『建築パース』と言っても、外観パースや内観パースなどがあり、設計士はそれらを駆使して建物の完成状態を把握しています。

では一体、内観パースと外観パースとは、何が違うのでしょうか?

内観パースは、どうやって描画し、何を表すために用いられるのでしょうか?

そこでこの記事では、内観パースの種類や用途について解説します。

内観パースの概要から手書きの方法、ならびにその他の描画方法について紹介しているので、ぜひご一読ください。

 

建築パースの一種、内観パースとは?

まず、内観パースとは、建築物の内装イメージを描画したものです。

建物内部の間取りや家具、照明の配置などが詳細に描き込まれており、見た人に、今後建築される建物の完成図を一目で理解してもらうことができます。

なお、内観パースは、平面図や断面図のような二次元的なものではありません。

リビングなどの部屋を立体的に捉え、手書きまたは3DCGで表現され、多くの場合で着色も行います。

これにより、建築についてあまり詳しくない人でも、建物の完成図を視覚的に知り、想像を膨らませることができるのです。

【初心者】建築パースとは?種類から書き方まで徹底解説!

 

内観パースの書き方を2つ紹介

内観パースを書く方法は主に2つあります。

①内観パースを手書きで書く方法
②内観パースをCGで書く方法

順番に説明していきます。

①内観パースを手書きで書く方法

まず、内観パースを手書きで書く方法です。
内観パースは主に一点透視法または二点透視法を用いて描画されます。
今回は、書くのがより簡単でわかりやすい一点透視法を例に、手書き方法を解説します。

簡単な手順は下記の通りです。
・アイレベルと最奥の壁を書く
・補助線となるマス目を書く
・家具の底面を書く
・家具のアタリを取る
・家具や窓、照明などを書き込む
・着色する

まずは薄い線で、基準となる目線の高さ(アイレベル)と、一番奥の壁を書きましょう。

目線の高さは1.5m、天井の高さは2.5m程度と想定して描くと、難しく考えずに進められます。

次に同じく薄い鉛筆で、補助線となるマス目を1m間隔で描き込みます。

床や天井は手前に来るほど間隔が広く見えるので、それを念頭に置いてください。

以上の補助線が書き終わったら、次は家具を配置していきましょう。

同じく薄い鉛筆で、家具の底面(床との接地面)を描き込みます。

位置が決まったら、底面から天井に向かい、家具のおよその形を取ります。

この段階では、箱(直方体)でアタリを取るプロの建築家が多いので、ぜひ真似してみてください。

家具の場所や形、大きさなどが決まったら、濃い鉛筆で詳細に描き込みましょう。

窓や照明、カーテン、テレビなども書き終えたら、色鉛筆やコピック等の画材で着色して完成です。

 

②内観パースをCGで書く方法

次に、内観パースをCGで書く方法です。

CGを用いて内観パースを描画する場合は、手順が異なります。
手書きでアイレベルや補助線を検討した代わりに、CGではまず二次元の状態で平面図や立体図を描画します。

平面図や立体図が用意できたら、それらを基準にモデリングし、三次元に組み直します。
モデリングする際は、平面図を元に「押し出し」や「フィレット」などを駆使し、作成します。

モデリングができたら、次は家具を家具らしく見せるための質感制作(マテリアル・ライティング)を行います。
照明の光や窓から差し込む太陽光などを表現することで空気感が生まれ、見た人により詳細なイメージを伝えることができます。

内観パースを作り終えたら、レンダリングし、必要であればレタッチを施して終了です。

 

内観パースを作成する際のポイントと建築上のメリット

内観パースを作成する際のポイントは3つあります。

① 完成形を詳細にイメージできる
② 建築士と顧客のイメージの相違を防止できる
③ 顧客・建築士双方の要望や意見が伝えやすく、よりよい内観を制作できる

順番に説明していきます。

①完成形を詳細にイメージできる

1つ目のメリットは、内観パースを書くことで建築物の完成形を詳細にイメージできることです。
建築の専門でない人にとっては、平面図や断面図などによる二次元的な線の情報だけでは、実際の部屋の間取りや空気感をイメージすることは難しいものです。

そこで内観パースを使うことで、建築非専門の人でも、実際に建ったらどのような雰囲気になるのかを繊細にイメージできるようになります。

建築物の完成形をより詳細に伝えられるため、クライアントや社内コンペなどでも、より訴求力の高いプレゼンテーションを実現できます。

②建築士と顧客のイメージの相違を防止できる

2つ目のメリットは、建築士と顧客間の認識の相違を防止できることです。
1つ目のメリットでも説明した通り、建築非専門の人にとっては、線や数字、材質の言葉による説明だけでは本物をイメージするのは難しいことです。

そのため建築士の設計や意見を、意図しない意味で捉えてしまうことがしばしばあります。
それらの認識の食い違いを防ぐために、視覚的な内観パースの利用は有効です。
これにより、今までより修正が少なくなり、業務の効率改善も期待できます。

 

③顧客・建築士双方の要望や意見が伝えやすく、よりよい内観を制作できる

3つ目のメリットは顧客の要望を反映させやすく、かつ建築士の意見を提示しやすいことです。

間取りやインテリアにおいて、顧客にとっては理想の形だとしても、専門的な目で見れば実現不可能のことや、顧客が望む機能性が得られないことがわかっているケースもあるでしょう。

また顧客は完成予想図を見ることで、新たな希望や改善点が見つかることもしばしばあります。
そこで内観パースを利用することで、双方の意見を伝えやすく、よりよい内観を作ることができるのです。

上記のように、内観パースを用いて完成形を詳細にイメージできることで、さまざまなメリットが期待できます。

 

建築内観パースとは?のまとめ

内観パースは、手書きで描画する場合は補助線やアイレベルの検討が、CGで描画する場合は下準備の平面設計図の準備が大切です。

訴求力の高い内観パースを作成するためには、経験値や画法の理解が必要ですが、慣れれば建築士と顧客の双方に利益をもたらすでしょう。

とくに簡単な手書きの内観パースであれば、数十分で描画可能です。
そのため、実際に顧客と相談しながら、その場で描画し、意見交換に活用することもできるので、ぜひ実践してみてください。

訴求力の高い建築内観パースを作成したい場合は、専門の設計士に外注してみることをオススメします。

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