省エネ計算代行の流れと費用を徹底解説

省エネ基準の適合義務もしくは適合可否について評価・説明が必須になりました(改正建築物省エネ法が令和3年4月1日に施行されました)。

省エネ計算を自社で行うことは手間がかかり、業務の効率化を図るため代行会社に委託するケースが増えています。

これから初めて外注する方は、委託して大丈夫なのか、どのように依頼すれば問題が起こらないかなど気になるかと思います。この記事では、省エネ計算代行の依頼方法の流れ、各書類作成の費用についてご紹介いたします。

 

省エネ計算代行の流れ3つのステップ

①見積もり依頼
②発注・省エネ計算結果書類等の納品
③計画書もしくは届出書の作成・その他対応
*計画書:基準適合義務物件に対応
*届出書:届出物件に対応

大きくはこの3つのステップを理解していれば、代行会社にスムーズに依頼することができます。②までだけ代行会社に依頼することもできますが、③まで依頼することがほとんどです。また、③のステップ以降の申請自体も代行会社に依頼することも可能です。

③まで代行会社に依頼する理由は、省エネ判定機関からの是正確認が行われるためです。計画書もしくは届出書に対して、確認を求められたり、是正を求められることもあります。これらの対応を書類作成者が行なった方が効率的であるため、ここまで依頼をする場合がほとんどになります。

*ステップ②まででも、省エネ判定期間からの是正確認について対応してくれる会社もあります。

それでは、省エネ計算代行の流れを順番に説明します。

 

省エネ計算代行の流れ①見積もり依頼

見積もりに必要な書類は基本的には以下の通りです。
・建物概要(住所、延面積、工事種別など)
・配置図
・各階平面図
・矩計図
・立面図
・空調機器表(空調方式含む)

次に、納品方法、どこのステップまで発注するかを決めます。

 

納品方法

データもしくは製本までを選ぶことができます。申請作業を自社で行う場合は、製本まで依頼してしまった方が効率的でしょう。

どの段階まで依頼するか
1. 計算結果書類等の作成
2. 計画書もしくは届出書の作成
3. 申請業務

 

どの段階まで依頼するかで見積もり内容も変わります。オススメは2までを依頼する方法です。計画書等の作成までを依頼しないと代行会社に頼む業務効率化のメリットをあまり得られないためです。

3まで依頼することで、仕事の負担が減りますが、3のステップはコストに見合わないことが多いです。自社で行なってもそこまで時間もかからないため、自社で行うことがほとんどです。

 

省エネ計算代行の流れ②発注・省エネ計算結果書類等の納品

見積もり金額を承諾し、発注に進みます。発注をしてから、計算結果書類等の納品を待ちます。

発注に必要な書類や図面があり、基本的に以下の通りです。(設置のないものは必要ありません)
・確認申請書1~5面
・外皮(特記仕様書、外部・内部仕上げ表、配置図、各階平面図、各室面積表、立面図、矩計図、断面図、建具表、キープラン図)
・空調関係図面一式
・換気関係図面一式
・照明関係図面一式
・給湯関係図面一式
・昇降機図面一式
・効率化設備(太陽光発電図面一式、コージェネレーションシステム図面一式等)

これらの書類や図面をもとに、省エネ計算結果書類等が納品されます。

この際に、自動的に送られてくるのではなく、代行会社から図面に関しての質問や、修正を求められることもあります。なので図面等に不備がないか確認してから提出しましょう。

 

省エネ計算代行の流れ③計画書もしくは届出書の作成・その他対応

省エネ計算結果書類等が出来上がったら、計画書等の作成に移ります。ここまでを代行会社に依頼した場合、省エネ判定機関等との是正確認はスムーズに進みます。

 

そして計画書等が納品(データもしくは製本)され、省エネ判定機関等に提出します。提出を代行会社に依頼しない場合は、自分の会社で行うようになります。

登録判定機関等から省エネ適合判定通知書および副本が届きますので、指定確認検査機関等に提出し、確認済証が交付されます。

 

省エネ計算の代行費用と種類を解説

・省エネ計算および計算結果書類等の作成まで
・計画書もしくは届出書の作成まで
・計画書および届出書の提出代行まで

省エネ計算のそれぞれの種類別の代行費用を説明していきます。
→内部リンクより詳しい省エネ計算の料金については「省エネ計算料金」へ

 

省エネ計算および計算結果書類等の作成まで

・非住宅の床面積300㎡以上の建築物
50,000円~
・共同住宅
5,000円~/戸
もしくは
20,000円~/棟

となっているようです。それぞれ建物規模・形状、設備仕様などで見積もり金額は変わります。

 

省エネ計算法の種類

<非住宅建築物>
代行会社は、モデル建物法を採用することが多いです。

・標準入力法

詳細な計算方法で、省エネ性能をより正確に評価できます。建築物内の全ての室において、床面積等の室面積等の室仕様および設備機器等の性能値を入力することで算出されます。

・モデル建物法

比較的簡易な計算方法になります。用途別のモデルを選択して、建物仕様および設備機器等の性能値を入力することで算出されます。

・小規模版モデル建物法(300㎡以下)

300㎡以下の非住宅建築物に適応できる計算方法です。モデル建物法をより簡便にした方法になります。

<住宅>
代行会社は、簡易計算ルートもしくはモデル住宅法、フロア入力法を採用することが多いです。

・標準計算ルート

詳細な計算方法で、省エネ性能をより正確に評価できます。外皮性能、一次エネルギー消費性能を詳細に入力することで算出されます。

・簡易計算ルート

外皮性能計算において外皮面積等を用いない簡易的な計算方法になります。

・モデル住宅法

戸建て住宅用の手計算可能な簡易的な計算方法になります。WEBプログラムだけでなくて計算でも可能になったもので、外皮性能において簡易な計算で算出することが可能になったものです。

・フロア入力法

共同住宅用の簡易モデルによる計算方法になります。従来は各住戸の外皮性能および一次エネルギー消費性能、共用部分の一次エネルギー消費性能を計算する必要がありました。これを簡易化し、フロアごとの情報入力で全体の外皮性能および一次エネルギー消費性能の計算をできるようにしたものになります。

計画書もしくは届出書の作成まで

10,000円~30,000円の料金設定のところが多いです。建物規模が大きいため、届出書より計画書の方が料金が高いです。

計画書および届出書の提出代行まで

代行会社の場所や、建物の住所によって変わります。こちらは各代行会社に問い合わせる必要があります。

 

省エネ計算代行の流れと費用のまとめ

省エネ計算代行には3つのステップがあり、①見積もり依頼、②発注・省エネ計算結果書類等の納品、③計画書もしくは届出書の作成・その他対応となっています。①、②の段階では、必要な書類や図面が多いため、なるべく早めに見積もり依頼をすることで、必要書類を確認し準備するようにしましょう。

省エネ計算の代行費用は、非住宅の場合50,000円~、住宅の場合5,000円~/戸もしくは20,000円~/棟となっています。計画書等の作成は10,000円~30,000円で、提出代行は地域によって異なるため問い合わせる必要があります。

業務が回らなくなることを防ぐために代行会社に省エネ計算等を依頼する流れと費用についていかがでしたでしょうか?全体の流れや費用感を知っていれば依頼しやすいかと思います。是非お役に立てれば幸いです。

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